「この間は、急にごめんなさい。あの日は、お休みだったんですね。」
「申し訳ございませんでした。そうなんです、研修でお休みをいただいていました。」
その日は研修のため、鍼灸院を閉めていた。
そして、ちょうど休みの前日に、常連のクライアントから予約の連絡が入っていたのだ。
「連絡した日だったら、営業していたんですか?」
「営業していました。」
「じゃあ、その日に行けば良かったな。」
悔しそうに笑ったあと、クライアントはふと真剣な顔になり、こう打ち明けた。
「実はね、あの日すごく体が疲れていて……気づいたら無意識に、あなたに連絡していたの。たぶん体が、鍼を求めていたんだと思う。」
その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。
鍼は、自然治癒力を引き出すもの。
私が信じて続けてきたことが、確かにクライアントの体を通して現実になっている。
こんなに嬉しい瞬間は、ほかにない。
体の声は、いつだって正直で、私の想像を超えている。